近頃、マグニチュード6規模以下の地震が頻発しています。
2018年6月18日には大阪地震が発生し、「大地震が近づいているのではないか。」という声もよく耳にするようになりました。
そんな地震大国日本で、現在最も恐れられているのが”南海トラフ地震”。
その理由は数々の地震と比べても被害規模が桁外れに大きいと予想されているからです。
しかし、南海トラフとは実際どこにあって、どのくらいの地域に被害が及ぶか、あなたはその全体像をきちんと把握出来ていますか?
今回は、南海トラフの概要と被害予想についてまとめました。
日本という国家1つを揺るがしかねない大地震に備えるために、今のあなたの防災対策を見直すきっかけにして下さい。
1.南海トラフ地震について
1-1.南海トラフの発生位置
南海トラフとは伊豆半島の付け根から、四国の南の海底まで繋がる深い海溝のことです。
海溝の中でも比較的なだらかな地形を「トラフ」と呼びます。
フィリピン海プレートとユーラシアプレートがぶつかる境目に当たり、4000m級の深い溝を形成しています。
直線距離に直した場合は本州の半分を超えるほどの長さの溝となっているため、非常に大きな海溝であることがわかります。
1-2.南海トラフ地震の仕組み
南海トラフ地震は2つのプレートがぶつかることで発生します。
2つのプレートがぶつかると、固い海のプレートの上にやわらかい陸のプレートが乗り上げ、地下に沈んでいく海のプレートに陸のプレートが引き込まれていきます。
プレートに引き込まれる力により、固い岩盤が破壊されたときに発生するのが地震です。
南海トラフでは1つの地震が起こると、周辺の地震が連鎖的に誘発され、非常に広い範囲で地震が起こる可能性があるといわれています。
具体的には東の駿河トラフ沿いで発生するものを東海地震、紀伊半島以東で発生するものを東南海地震、四国沖から紀伊半島沖で発生するものを南海地震と呼びます。
それぞれが大きな地震の震源地になりえますし、これらの地震が連動することで最大マグニチュード9に達する大地震になる可能性があると言われています。
最大マグニチュード9は東日本大震災と同程度の規模の地震ということになります。
地震が連動するほど全体の震度や規模が大きくなるため、南海トラフ地震の被害規模は莫大なものになると警戒されています。
また、仮に地震が連動しなくても津波などの大被害が出ることも懸念されています。
南海トラフ地震は100年から200年周期で繰り返されていることが判明しており、最後に発生したのは1946年12月21日の昭和南海地震になります。
つまり、現在2018年で前回の南海地震から72年が経ちます。
1-3.被害予想
<被害予想の範囲>
東海地方から近畿地方中南部、四国全域、九州の一部にまたがるまで広い範囲で被害が生じると想定されています。
深海が発生源となるため津波が発生する可能性が非常に高く、甚大な被害をもたらすと想定されています。
関東圏や九州の広い範囲でも死者や建物への被害発生すると考えられていて、いかに広い範囲が影響を受けるかがわかります。
<被害予想の規模>
最も被害が大きくなると想定される静岡県では死亡者が約11万人、次いで和歌山県が8万人、高知県、三重県、宮崎県4万人の死亡者が想定されています。
最悪の場合は32万人を超える犠牲者が発生すると考えられています。
静岡県と高知県の一部地域では30mを超える津波が想定されているほか、10m級の津波が想定されている自治体も数多く存在します。
東京でも1500人規模の死者が発生する恐れがあり、大阪の7700人、神戸の5800人の予測が立てられているなど、人口が密集する都市圏への被害も考えられています。
津波や地震による建物の倒壊だけでなく、様々なインフラの破壊や流通網の寸断により被害想定総額が1410兆円にも上るという試算も存在します。
<私たちの生活への影響>
生活インフラや工場などの工業施設への打撃、農業被害、交通網の寸断などから、日本各地で様々な物が不足する恐れがあります。
特に工業製品は部品などの供給不足などが生じ、被災地以外でも製品の生産自体ができなくなるなどの悪影響が考えられるのがポイントです。
被災が想定される地域では1ヵ月分の食料や物資の備蓄を行い、避難経路などもしっかりとチェックしておく必要があります。
被災が想定されていない地域でも混乱が生じる可能性が高く、最低限の食料や防災グッズなどは用意しておくことが重要です。
また、発電所への被害が生じれば電力が不足する可能性が高く、生活だけでなく復興にも大きな影響が生じる可能性があります。
復興に必要な地域への電力供給を行うため、計画停電が行われる可能性も考えられます。
南海トラフ地震が発生する前の生活を取り戻すためにはかなりの時間がかかると見られています。
<日本経済への影響>
最悪被害想定総額は1410兆円で、日本の一般会計予算の14年分を超える金額になります。
被害が想定される地域には日本有数の経済圏や工業地帯などが含まれていて、影響が長期化すると見られています。
震災被害による企業の倒産などが相次ぐ可能性もあり、甚大な被害をもたらすと想定されているのです。
ただし、津波や地震対策を進めることで被害を減らせるとも見込まれていて、防災設備の拡充などは進んでいます。
東日本大震災の経験から部品生産や組立工場を分散させるなど、企業側で進む努力なども存在します。
2.大阪地震と南海トラフ地震の関連は?
2-1.大阪地震の概要
2018年6月18日に起きた大阪地震(大阪府北部地震)は大阪府北部を震源として最大震度6弱、マグニチュード6.1を記録しました。
死者4名、重軽傷者428名、住宅被害は約2万世帯に及ぶといわれています。
震源地は地価13kmと比較的浅く、一部地域で断水や停電などの被害が生じました。
大阪地震は大阪を南北縦断する活断層、上町断層帯との関連を指摘する専門家もいます。
2-2.南海トラフとの関連性
大阪地震と南海トラフは現在のところ全く別の地震と考えるのが自然です。
大阪地震は地下に走る断層から発生した直下型の地震であり、南海トラフの海溝型の地震とは発生のメカニズムが全く異なるからです。
上町断層帯自体が8000年から9000年程度の周期で直下型の大きな地震を発生させているため、全く関係がないと考える専門家もいます。
現に、気象庁は平成30年7月6日に南海トラフ地震に関連する情報を発表しており、そこで昨今の地震活動によって南海トラフ沿いの大規模地震発生の可能性が高まったと考えられる変化は観測されていないと述べています。
気象庁は約1ヶ月ごとに南海トラフ地震に関する情報を公開しているため、より詳しく知りたい方は気象庁HPで随時チェックしてみて下さい。
一方で、西日本で地震が多発しているように、大陸の内陸部にエネルギーがたまっていると見る専門家もいます。
直接的には南海トラフ地震と関係がなくても、日本各地で地震が起きやすくなっているという意見です。
大阪地震は直接関係がなくても地震や火山活動が活発になっていることが南海トラフの前兆だと考える人もいるため、まずはいつ地震が来てもいいように備えることが重要になります。
3.実際に地震が起きたら・・
地震が起きたらとるべき行動は地域や環境によって大きく異なります。
南海トラフ地震は津波被害が想定されるため、沿岸地域の場合はできるだけ早く海から離れるのが基本になります。
非常用の持ち出し袋を持って避難所に向かうなど、日ごろの準備と確認が生死を分けると言っても過言ではありません。
こちらの記事に「実際に地震が起きた時にとるべき行動」と「今できる防災対策」について詳しくまとめてあるので、参考にして下さい。
まとめ
南海トラフ地震は30年以内に80%の確率で起きるといわれています。
防災施設の拡充や避難計画策定が進む自治体も存在しますが、どの程度の備えがあるかは地域によってバラツキがあります。
自分の身を守るためには、自治体や政府任せではなく、自分で情報を集め、事前に防災対策を行わなければいけません。
影響囲と被害規模が非常に大きいと予想されている大地震で生き残るために、他人事ではなく今から気を引き締める必要があります。