いつ自分、または自分の大切な人の身に災害が降りかかるかわかりません。
そんな時、まず第一に気がかりなのは、家族、親戚、知人の安否情報ではないでしょうか?
しかし災害後はインフラが崩壊していることもあり、正確な情報を入手することは容易ではありません。
ましてや、家族や友人などの特定された個人の安否を確かめることは非常に困難となっています。
実際、東日本大震災の時には、多くの人が携帯電話での通話による安否確認を試みて、電話が輻輳(寄り集まって込み合うこと)する事態となりました。
通信量が膨大なものとなり、キャリア毎のパケット通信規制は最大7割、通話規制は最大で9割にも上ったと言います。
このことは、被災地の命に関わる緊急の電話を妨げたとして問題にもなりました。
このことから、電話は安否確認に不向きであることが分かります。
確実に大切な人の安否を確認したいと考えている方は、電話以外の安否確認ツールを導入しましょう!
そこで今回は、本当に使える安否確認ツール5選を徹底比較してご紹介していきます。
オススメの安否確認ツール5選
①災害用伝言ダイヤル(171)
「災害用伝言ダイヤル(171)」とは、地震、噴火などの災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合に提供が開始される声の伝言板です。
メールやチャットが発達した今でも、「肉声を聞くことができる」という安堵感から、絶対的な立ち位置を誇っています。
この後ご紹介していく他の4つのサービスと大きく違うのも、この本人の声が聞けるというポイントです。
通信業界最大手のNTTグループが運営しているため、全国どこでも利用することができます。
また、実際に災害が発生して初めて利用するとなると、子供やお年寄りは操作がわからず、使いこなせないということもあるかもしれませんよね。
そのようなことが起きてしまっては本末転倒なため、体験利用日を設けている会社がほとんどになります。
<特徴>
- 唯一本人の肉声が聞ける
- 「171」とダイヤルするだけなので、まどろっこしい操作不要でお年寄りや子供が利用しやすい
<利用できる端末>
- NTT加入電話
- 公衆電話
- INSネット(ダイヤル式電話以外)
- ひかり電話(ダイヤル式電話以外)
- 災害時用公衆電話
- 携帯電話
- PHS
※携帯電話・PHSからの利用は、会社によって利用できない場合があるため自分の契約している通信事業者へ確認が必要です。
<料金>
- NTT東日本・NTT西日本の電話サービスから伝言の録音・再生をする場合の通話料は無料
- 他通信事業者の電話、携帯電話やPHSから発信する場合は、各通信事業者に問い合わせが必要。伝言録音等のセンタ利用料は無料。
<サービス運用条件>
地震等の災害発生時に、被災地の方の安否を気遣う通話が増加し、被災地への通話がつながりにくい状況(ふくそう)になった場合、速やかにサービスが提供されます。
<伝言>
- 伝言は30秒以内であれば、1電話番号あたり20件まで登録することが可能
- 一度登録された伝言は、災害用伝言ダイヤルの運用終了まで、消えることなく保存され続ける
<利用方法>
「171」をダイヤルし、利用ガイダンスに従って伝言の録音、再生を行って下さい。
詳しくはNTT東日本のホームページに利用方法の詳細が説明されているので参考にしてください。
<体験利用日>
- 毎月「1日」「15日」(00:00~24:00)
- 正月三が日 (1月1日00:00~1月3日24:00)
- 防災週間 (8月30日9:00~9月5日17:00)
- 防災とボランティア週間 (1月15日9:00~1月21日17:00)
②災害用伝言板
NTTドコモでは大規模な災害時に携帯電話やスマートフォンでメッセージを入力する事で安否確認ができる「災害用伝言板」を提供しています。
<特徴>
- フリーコメントだけでなく、状況を選択して送信することも可能なため、緊急時に活用できる
- PHSやパソコンなどからもメッセージを確認できる
<利用できる端末>
ドコモの携帯電話、スマートフォン
<料金>
無料
※ただし、以下のご利用についてはパケット通信料がかかります。
- ドコモ以外の携帯電話会社が提供する災害用伝言板サービスへのアクセス
- インターネット上の安否情報サービスへのアクセス
- 国際ローミングでのアクセス
- 登録お知らせメールの受信
- 防災・防犯・医療メニューへのアクセス(iモードをご利用のお客様)
- dメニューへのアクセス(スマートフォンをご利用のお客様)
<サービス運用条件>
震度6弱以上の地震など、大きな災害が発生した場合。
<メッセージ>
日本語版と英語版に対応しており、安否の状態を複数から選択する、またはフリーコメントを残すことができます。
状態(複数選択可)→日本語版:「無事です。」「被害があります。」「自宅に居ます。」「避難所に居ます。」
英語版:「I’m okay」「Need Help」「Safe at home」「At evacuation area」
コメント→全角100文字以内(半角200文字以内)
- 1携帯電話番号あたり10件可能
- メッセージの有効期限は1つの災害でのサービスを終了するまで
- PHSやパソコンなどからもメッセージを確認できる
<利用方法>
スマートフォンは「災害用キット」を選択、ドコモケータイ(spモード)はメニューの「あんしん」を選択し、「災害用伝言版」にアクセスしてサービスをご利用下さい。
詳しいご利用方法はこちら
また災害用伝言板はNTTだけでなくKDDIやソフトバンクも運営しています。
KDDI:https://www.au.com/mobile/anti-disaster/saigai-dengon/
ソフトバンク:https://www.softbank.jp/mobile/service/dengon/boards/
そのため、Wi-Fi(インターネット)経由のアクセスが可能なエリアや、各キャリアごとのモバイルデータ通信対応エリアであれば、海外のネット環境からでも利用が可能です。
<体験利用日>
- 毎月「1日」「15日」(0:00~23:59)
- 正月三が日(1月1日12:00~1月3日23:00)
- 防災週間(8月30日~9月5日)
- 防災とボランティア週間(1月15日~1月21日)
③Google パーソンファインダー
「災害用伝言板」と同様のメッセージ登録サービスを、Googleでも提供しています。それがGoogle クライシスレスポンスチームの運営する、「Googleパーソンファインダー」です。
こちらは東日本大震災の際に臨時のサービスとして初めて提供されましたが、67万件以上の安否情報が登録されたと言われています。
そんな「Googleパーソンファインダー」は他の安否確認ツールと少し違った特徴を持っています。
<特徴>
- 友人や親類を探せる利便性と、行方不明の個人のレコードをインターネット上に公開するというプライバシーの問題を両立させている
→具体的には、ユーザーがレコードを作成する際に、そのレコードの有効期限を設定するようになっています。
レコードは設定された日付をもって期限が切れ、閲覧も検索もできなくなるだけでなく、数ヵ月後に災害が沈静化した際には、全てのレコードの有効期限が切れる仕組みになっています。
- 安否情報が詳細に登録できる
→安否状態を選択したのちにフリーコメントが可能ですが、こちらの文字ボリュームが無制限な上、写真ファイル1件まで添付できるようになっています。
また、こちらも個人の安否情報の更新通知を電子メールにリンクできるようになっています。
- 他人の安否情報を共通フォーマットに登録できるため、全ての個人データを一元的に検索できる
→2005 年に発生したハリケーン「カトリーナ」の直後では、行方不明の人々の名簿が様々なwebサイトで作成されており、安否確認の効率が悪かったといわれています。
そのため、その反省からGoogleパーソンファインダーでは、共通フォーマットに他の名簿からのデータを受け付けることで、この問題を克服しました。
<利用できる端末>
- 携帯電話
- スマートフォン
- PC
<料金>
無料
<サービス運用条件>
サービスに明確な運用条件ありません。
運営であるGoogle クライシスレスポンスチームは、「毎度被災状況の規模を分析し、その状況に最も適したツールを提供」することにしています。
そのため、使いたい時に確実に使えるという保証はありません。
<メッセージ>
- 無制限、写真ファイル1個添付可能
- 79か国語に対応
<利用方法>
- Googleパーソンファインダー(日本)にアクセス
- 「安否情報を提供する」を選択
- 自分の情報を提供する→自分の名前を入力、特定の個人の情報を探す→その人の名前を入力
- 詳細情報の入力
- メッセージを入力
- 送信
<体験利用>
平常時は常時専用ページから体験可能
④J-anpi 安否情報まとめて検索
安否情報ポータルサイト「J-anpi 安否情報まとめて検索」は、災害発生時における被災者の安否情報を、国内外のweb閲覧環境下で誰もが、携帯電話、スマートフォン、PCから検索・参照できることを目的に、エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社が提供しているサービスです。
メッセージを登録するサービスではありませんが、登録情報の検索では、他の追随を許さない網羅性を誇っています。
現時点で、NTTグループと大手キャリア各社が提供する災害用伝言板の情報の他、グーグルのパーソンファインダーに上がっているメッセージまでカバーしているため、今までご紹介したものは網羅済みですが、今後も更なる情報源の充実を目指していると言います。
<特徴>
- 高い利便性
→各企業・団体が提供する安否情報サイトを個別に何度も確認することなく、J-anpiで一括検索し、内容も一覧で確認することができる
- 迅速確実な提供
→各企業・団体から本サイトへの安否情報の提供を汎用ファイル(CSV,XML)形式で行えるため、提供時の様式変更などの手間が少なく、迅速かつ広く安否情報を収集できる
- J-anpi自体への安否情報の登録は企業、団体のみ可能
<利用できる端末>
- PCやスマートフォン、携帯電話などWebブラウザを起動できる端末
<料金>
無料
<サービス運用条件>
基本的に常時ご利用可能
※ただし、通信キャリア各社の災害用伝言板、Googleパーソンファインダーがご提供されていない場合、および、報道機関、各企業・団体が提供する安否情報安否情報登録がない場合は、参照するデータが存在しないので、検索を行うことができない
<メッセージ>
- 日本語、英語、中国語、韓国語に対応している
- J-anpiへの安否情報の登録は、企業・団体、自治体等より受付けており、個人の方からの登録できない
※個人で安否情報を登録したい場合は、各携帯電話事業者、又はNTT東日本・NTT西日本が提供する災害用伝言板に登録することによって、その情報がJ-anpiでも表示される
<利用方法>
名前や電話番号で個人を検索することができます。
詳しくは利用ガイドを参考にして下さい。
<体験利用日>
- 毎月「1日」「15日」(0:00~23:59)
- 正月三が日(1月1日12:00~1月3日23:00)
- 防災週間(8月30日~9月5日)
- 防災とボランティア週間(1月15日~1月21日)
⑤あなたと大切な人を繋ぐアプリ -無料の安否確認getherd-
「あなたと大切な人を繋ぐアプリ -無料の安否確認getherd-」は、株式会社電縁が運営する無料の安否確認サービスです。
ブロックチェーン技術を活用した次世代型安否確認サービスです。
<特徴>
- ブロックチェーン技術が応用された国内初の安否確認サービス
→秘匿性がどこよりも高い
- 災害時の通信規制にかからず平常通り稼働でき、確実性が高い
→サーバーが存在しないため、輻輳してもダウンすることがないため
- 平常時も常に利用可能なため、災害時の安否確認以外に個人的なハプニングの際にも利用できる
<利用可能端末>
- スマートフォン
<料金>
無料
<サービス運用条件>
常時利用可能
<メッセージ>
- ブロックチェーン技術を応用しているため秘匿性が非常に高い
- 全角で256文字以内、半角で512文字以内
- 一度登録されたメッセージはサービスの運用終了まで保存される
- 海外にいてもweb環境があれば、スマートフォンからアクセス可能
<利用方法>
- 「getherd」のアプリをインストール
- 利用規約に同意
- 友達を登録する
その他、アプリについての詳しい詳細はこちらをご確認下さい。
まとめ
災害は、実際に自分が被災してみないとその辛さ、大変さが分かりません。
いざその時になって、もっとこうしておけば良かった、と後悔しないように平常時にどれだけ備えることが出来るかが重要になってきます。
また先ほども述べたように、災害直後の電話による安否確認は絶対にやめましょう。
LINEなどのSNSも、大きな災害の直後では使えなくなる可能性があるため、緊急時には緊急時用の連絡手段を確保しておくことをオススメします。
さらに、いざという時にきちんと使えなければ意味がないので、体験期間などを存分に活用しましょう。
ぜひこの機会に防災対策の第一歩として、安否確認ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。