インターネットを用いることで複数拠点のコンテンツを一括で管理できるクラウド型デジタルサイネージ。
近年スマートフォンなどでも利用が拡大している「格安SIM」を使うことで、以前よりも低価格で導入することが可能になっています。
本記事では、
-
オンプレミス型からクラウド型への移行を考えている
-
コストを抑えた運用で、新規にデジタルサイネージを検討している
といった方に向け、格安SIMを用いた低コストでのクラウド型デジタルサイネージの導入方法を紹介していきます。
1.クラウド型サイネージを利用するメリット
デジタルサイネージの導入形態は、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つに分類できます。
どちらも異なるメリット・デメリットを持ちますが、近年は初期費用が安く、スマートフォンなどを用いた気軽な更新が可能となるクラウド型サイネージの導入が増加しています。
特に、複数拠点での利用を想定している場合、スマートフォンなどの別端末からも更新を行いたい場合は、クラウド型の利用がおすすめです。
クラウド型とオンプレミス型のメリット・デメリットは、こちらの記事「デジタルサイネージを利用するならクラウド型?オンプレミス型?それぞれのメリット・デメリットと選び方を徹底解説!」でも詳しくご紹介しています。
2.クラウド型サイネージ導入における最大の課題は回線コスト
では、いざ「クラウド型サイネージを導入しよう!」となった際に、課題となるのはどのようなことでしょうか?
導入における最大の課題は「回線コスト」です。
クラウド型サイネージを導入する際には、必ずインターネット環境が必要になります。
例えばコンビニエンスストアのPOSシステムなど、社内や店内ですでに使用している回線があればそちらを利用することもできますが、それらの回線とサイネージを一緒に使用することで、速度が遅くなったり回線が切れてしまうことがあります。
サイネージ用に新規のネットワーク回線を用意する場合、従来であれば月に5,000~8,000円のコストがかかるため、ソフトウェア自体の初期費用は抑えられたとしても、総合的にかかる費用や手間の観点から導入ハードルが高くなってしまうことがあるのです。
しかし、この問題は「格安SIM」を用いることで解決可能です。
3.格安SIMとは?
SIMカードとは、スマートフォンなどに使われている小さなICチップのことです。SIMカードが入っていることで通話やインターネットの利用が可能となります。
中でも格安SIMとは、その名の通り「格安で利用できるSIMカード」です。
より正確には、MVNO(仮想移動体通信事業者)が提供しているSIMカードのことを指します。
MVNOとは、
- MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、
- 当該移動通信サービスに係る無線局を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者
(出典:『MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン』)
のことです。
少し分かりづらいので具体的に説明すると、MNOとは、docomo、au、softbankといった大手通信キャリアです。
大手通信キャリアが自社で持っている通信網の一部を借りることで、人件費・広告費・テナント料などを抑え、ネットワーク通信のサービスを安く提供している会社、例えば楽天モバイルやmineo、UQモバイルがMVNOにあたります。
大手キャリアのSIMに比べてやや速度が遅くなるなどのデメリットがあるものの、通常のネットワーク利用の範囲であれば格安SIMでも問題はありません。
これらの格安SIMを利用することで、ネットワーク回線を安く確保することが可能となります。
4.格安SIMでクラウド型サイネージを安く導入!
格安SIMはスマートフォンで用いられるイメージが強いですが、実はデジタルサイネージの回線としても使用することができ、先程のネットワーク回線の問題を低価格で解決することが可能です。
SIMカードには、通話とデータ通信ができる「音声通話SIM」とデータ通信のみができる「データSIM」が存在します。
デジタルサイネージの場合はインターネット環境のみがあればよいので、格安の「データSIM」を用います。
この方法であれば、月5,000~8,000円かかるはずだった回線代を、月1,000~1,500円まで大幅にコストカットすることができます。
コストを理由にクラウド型サイネージの導入を諦めていた方も、導入のハードルをぐっと下げることができるのではないでしょうか。
では、格安SIMを用いたクラウド型サイネージの導入方法を具体的に説明していきます。
<導入方法>
ここでは、ディスプレイ、セットトップボックス(STB)、コンテンツ・マネジメント・システム(CMS)、表示させるコンテンツなどはすでに準備されている状況を想定しています。
デジタルサイネージを構成する要素についてはこちらの記事「デジタルサイネージの導入費用はどれくらい?価格をリサーチ!」でも詳しく紹介していますので、不明な点がある場合は参考にしてみてください。
STEP1:ドングルを準備
まずはドングルを準備します。
ドングルとは、「コンピューターに接続する小さな装置の総称」です。
特にデジタルサイネージの場合は、USBコネクターの付いた小さな箱型のSIMカード入れのようなものを用います。
この中にSIMカードを入れた状態で、使用する機器のUSBポートに差し込むと、ネットワーク通信が利用できるようになります。
ドングルの種類によって利用できる周波数が異なるため、購入の際に注意が必要です。
ドングル製品の例はこちら
→https://www.fsi.co.jp/mobile/plusF/products/FS040U.html
例えば上記の製品であれば、docomo / au / softbankのLTE周波数および、docomo/ softbankの周波数に対応しています。
STEP2:格安SIMを契約し、ドングルに入れる
次に、先程ご紹介した格安SIM(データSIM)を契約します。
使用したいドングルが対応しているSIMカードの規格・周波数を事前に確認した上で契約するようにしてください。
この格安SIMを購入したドングルに入れて使用します。
STEP3:ドングルをセットトップボックス(STB)とつなぐ
最後に、ドングルをセットトップボックスのUSBポートに差し込みます。
セットトップボックスとは、デジタルサイネージのコンテンツを再生するためのプレーヤーのことです。
以上の工程でデジタルサイネージのインターネット環境が用意され、クラウドに接続できるようになります。
まとめ
本記事では、クラウド型サイネージのメリットについておさらいした上で、導入における課題と、その解決策としての格安SIM利用をご紹介しました。
この方法であれば、すでにサイネージを利用しているものの回線コストを理由にクラウド型の導入を諦めていた方や、デジタルサイネージの導入を検討しているけれど価格面に不安がある、といった方でも低コストでクラウド型サイネージを導入していただくことができます。
格安SIMを利用することで、コストを抑えたデジタルサイネージの運用・導入を検討してみてはいかがでしょうか。