Linux、Firefoxをはじめとするオープンソースプロジェクトは、社会を大きく変えています。
ソースが公開されていて世界中の誰もが開発や改良に参加することが可能なオープンソースソフトウェアは、不正や脆弱なプログラムがないか常に確認できるため信頼性が高く、システム間での連携やプラグインの開発・改良などに柔軟に対応できるという特徴を持ちます。
また、ライセンスの費用がかからないためコストが削減できる点も大きな魅力です。
デジタルサイネージにもオープンソースのソフトウェアは存在します。
海外では数多くのオープンソースサイネージが存在しており、多くの利用実績を持ちますが、日本ではまだあまり知られていないというのが実情です。
今回はその中から5つのオープンソースサイネージをピックアップしてご紹介します。
1.Concerto
2008年春に初版がリリースされた、ダウンロード可能なオープンソースのデジタルサイネージです。
2017年に最新版(2.3.4)に更新されています。
開発元はアメリカのレンセラー工科大学(RPI)の学生団体Web Technologies Groupで、フリーソフトウェアとして利用することができます。
ソースコードはGithubで公開されています。
ライセンスはApache Software License 2.0を利用していて、利用時にはコンテンツ配信用のWebサーバにRuby on Railsとデータベース管理システム(MySQL、PostgreSQL、SQLiteなど)をインストールする必要があります。
2.StudioLite
提供元のMediaSignage社は、デジタルサイネージのOSSをはじめとして、配信サーバアプリ、クライアントアプリ(プレイヤー)、タッチスクリーン、タブレットなど、デジタルサイネージのハードからソフトまでを広く販売しています。
セブン&アイ・ホールディングス、P&G、ネスレ、adidasなどの有名企業を顧客としていて、様々なニーズに応えてくれる総合力が魅力です。
ライセンスはGPLv3で、無料で使えるFree Edition は基本機能のみの利用になりますが、何台でも1GBのストレージが利用可能になっています。
機能が拡張されたEnterprise Edition は 1台月49ドルがベースになります。
2台目以降は多くの台数を利用すればするほど値引きされるボリュームディスカウントの価格体系となっていて、規模の縮小や拡大に柔軟に対応できます。
3.Screenly
Screenlyは、Raspberry Pi (低スペック、低価格のマイクロコンピュータ)で簡単に利用できるデジタルサイネージソフトウェアです。
10,000以上の画面に配信を行う実績があるのもポイントです。
基本機能は簡素で、画像、動画、Webサイト表示のみとなっています。
ライセンスはGPLv2です。
Open Source Editionは、1台のみの利用が無料、2台目以降有料でボリュームディスカウントされる価格体系をとっています。
Screenlyはオープンソース以外にも有料のデジタルサイネージサービスを多数提供しているため、混同しないように気を配る必要があります。
有料のScreenlyの場合はHD画像を含めた高画質な動画を利用することも可能になっています。
4.Xibo
2004年にプロジェクトが開始され、2009年にオープンソース化したデジタルサイネージです。
提供元はイギリス企業Xiboで、2017年に最新版(1.8)に更新されています。
Open Source CMS がGitHubで公開されているため、自社開発で拡張していくことも可能になっています。
Xiboのウィジェットを使えば簡単なドラッグアンドドロップで操作が可能なのが特徴で、直感的に使えることが魅力の一つになっています。
ライセンスはAGPLv3です。
無料の利用期間が14日間設けられているため、環境に応じてテストすることも可能です。
- 公式サイト:https://xibo.org.uk/
- ソースコード:https://github.com/xibosignage/xibo
5.ScreenHub
シリコンバレー発の2015年設立のスタートアップ企業、ScreenHubが提供するデジタルサイネージです。
どのようなサイズ、比率のディスプレイにも対応可能であることが特徴です。
Freeプランも存在し、1台に限り1GBのストレージを利用可能で、最大で25MBのアップロードが可能です。
容量の関係上機能はかなり制限されますが、導入の初期段階としてテストを行う際にも使いやすくなっています。
ライセンスはGPLv3です。
ソースはホームページから無料でダウンロードして使用できます。
- 公式サイト:https://screenhub.com/
まとめ
いかがだったでしょうか?
オープンソースのデジタルサイネージソフトウェアに共通する特徴は、簡素な機能を有する点・利用すればライセンスコストが削減できる点です。
そのため、シンプルなサイネージを用いたい場合やテスト運用をしたい場合に向いていると言えます。
また、ソースコードが改良できれば自分で機能を追加することも可能です。
一方、十分なノウハウが無い状態で導入する際は、導入や調整にかかる労力が大幅に必要になり結果としてあまりコストが削減されなかった、というケースも考えられるため慎重な検討が必要です。
オープンソースソフトウェアの活用経験がある場合には、今回ご紹介したようなサイネージソフトの導入を考えてみるのも良いかもしれません。