街を歩けば、あらゆる場所で、大小様々なデジタルサイネージを見かけます。
デジタルサイネージを活用することには、紙の媒体では得られないメリットがあり、近年すさまじい勢いで普及が進んでいます。
設置されている場所は屋内だけではありません。
ビルの壁面、店舗の外など、屋外でも多くのデジタルサイネージが活躍しています。
デジタルサイネージの導入を検討している方のなかには、屋内屋外の違いをあまり意識せず検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、屋外のデジタルサイネージを選ぶ際、屋内で利用するデジタルサイネージとは注意すべきポイントが異なります。
特にハードの面において屋外用ならではの装備が必要となります。
今回は、屋外用のデジタルサイネージの選び方についてお伝えします。
1.屋外でデジタルサイネージを活用することのメリット
屋外用のデジタルサイネージを選ぶ際に知っておくべきポイントをお伝えする前に、屋外デジタルサイネージを活用することで得られるメリットについて改めて整理してみましょう。
以前公開した記事、『宣伝効果大!意外と知らない屋外でのサイネージの活用方法4種類!』では、屋外にデジタルサイネージを設置するメリットと、実例に基づいたその宣伝効果をお伝えしました。
おさらいすると、屋外サイネージは、飲食店や小売店、不動産店などの店頭や観光地の街角、工事現場な、あらゆる屋外のシーンで活用の場があり、導入することで
- 映像などで紙媒体よりも分かりやすいコンテンツが配信できる
- いつでもどこでも情報発信ができる
- 限られたスペース内で膨大な情報発信ができる
- 紙媒体と比べコスパが高い
という4つのメリットを享受できるという内容でした。
特に、デジタルサイネージを広告という側面から見た場合、屋外に設置することで、歩行者など不特定多数の人に情報を動画などで積極的にアピールできるというのは大きな特徴といえるでしょう。
2.屋外にデジタルサイネージを設置する際に気をつけねばならないこと
デジタルサイネージを屋外に設置するには、屋外ならではの問題、つまり雨や風(海風)、塵、気温やその変化、直射日光にさらされるのか、太陽光の下での画面の明るさ、ディスプレイや筐体の大きさや強度などに気を配る必要があります。
適切に選ばなければ、故障する可能性も否定できません。
また、音声がついた動画を流すこともできますが、公共性の高い場所や静かさが求められる場合や、逆に繁華街で音に溢れている場合など、場所によっては音に頼れない場合があります。
そうなると、目立たせるために見た目にこだわる必要も出てきます。
3.屋外デジタルサイネージを選ぶ際のポイント
それでは、屋外向けのデジタルサイネージにはどのような機能が備わっているのでしょうか?
ハードウェアとソフトウェアの面からそれぞれご紹介します。
3-1.ハードウェア面からのポイント
前述したように、屋外にデジタルサイネージを設置する場合、設置予定の立地条件に基づいて適切に筐体の性能を決める必要があります。屋外に対応した主な性能について、それぞれみていきます。
●防水、防塵
設置予定地が風雨にさらされる環境である場合、防水・防塵規格をもつ機器を選ぶことはとても重要です。
電気機器内への異物の侵入に対する保護の等級が、IEC(国際電気標準会議)やJIS(日本工業規格)によって、「IP○○」という表記で定められています。
○○の部分が等級に分かれ、等級によりどの程度の防水・防塵の効果を期待できるかの判断基準になります。
例えば、最高等級のIP68ともなると、粉塵の侵入は完全に防げ、水面下での使用も可能です。
屋外用のデジタルサイネージの場合、「IP55」や「IP65」などの性能を標榜した製品があります。
「IP55」は、防塵・防水機能は十分にありますが、雨天時の長時間の使用には向きません。
設置する場所としては、商店街のアーケードなど、屋外といえども屋根のある場所が向いています。
「IP65」であれば、たとえ台風でも対応可能です。
●温度調節機能
電気機器の故障を避けるためには、熱の対策も重要です。
直射日光にさらされた際に熱くなり過ぎないよう、また冬場に冷えすぎないようファンやヒーターを内蔵した筐体があります。
●輝度
屋外でディスプレイを適切に視認するためには、ある程度以上の明るさ(輝度)が必要になります。
明るさを表現する単位はいくつかありますが、デジタルサイネージでは、cd/㎡(カンデラ)という単位を利用する場合が多くなっています。
一般的な家庭用のテレビの場合、350~500 cd/㎡です。
屋内のデジタルサイネージの場合は、350~1000cd/㎡が一般的です。
屋外にデジタルサイネージを設置する際の目安としては、1500~2500 cd/㎡程度の明るさが必要となります。
画面が明るければ明るいほど視認性は高まりますが、その分値段も上がるため注意が必要です。
機種によっては、輝度を調節可能なものもあります。
●大きさ、外観
デジタルサイネージの画面はスマホ程度の小さなものから、大型ビジョンといわれる大きさのものまで、様々揃います。
ただ大きければよいというわけではなく、設置する場所に合わせ、適切なサイズを選ぶことが大事です。
例えば、店頭では50インチ程度のデジタルサイネージが適しています。
最近は、曲面ディスプレイなど、デジタルサイネージも周辺一帯のデザインの一部として組み入れられている事例もよく見かけます。
周辺と一体となっていることで、よりスタイリッシュさが表現できます。
デジタルサイネージの周辺にラッピングなど装飾を施すことにより、目立たせる方法もあります。
駅の周辺など、公共性の高い場所に設置されたデジタルサイネージでの、期間限定のイベント告知などでの利用をよく見かけます。
3-2.ソフトウェア面からのポイント
ソフトウェアの面からも、デジタルサイネージは様々な機能を持ちます。
店頭や観光地など、設置する用途(=誰のために、何のために設置するのか)に合わせて機能を選ぶことができます。
●双方向
タッチパネル型のデジタルサイネージは、利用者が画面をタッチすることで能動的に情報を得ることができます。
また、ひとつの画面にすべての情報を表示させる必要がないため、提供できる情報量が増えます。
タッチの履歴=利用者がどの画面を何回閲覧したかというデータを残すことができるため、利用者のサイネージ利用データをマーケティングに利用することも可能です。
価格面では、非タッチパネルのディスプレイの方が抑えることができます。
●多言語
英語や中国語、韓国語など多言語に対応しているデジタルサイネージもあります。
例えば、観光地などにデジタルサイネージを導入する場合、複数言語に対応したサイネージを設置すれば観光客の満足度向上につながります。
外国語に不慣れなスタッフの業務のサポートとしても活躍してくれるでしょう。
観光地に限らず、飲食店などでメニューをデジタルサイネージに表示する際、多言語対応にすることで、利用客の裾野を広げることができるでしょう。
まとめ
屋外にデジタルサイネージを設置する際は、屋外ならではの問題に気を配る必要があります。
電子機器にとって屋外は、故障などの原因に対し気をつけねばならないことが多いため、その場所に応じた適切な機器を選ぶことがより一層重要です。
判断が難しい場合は、専門の事業者に相談してみてください。