デジタルサイネージを見かける機会は年々増えています。
飲食店の店頭で商品のイメージアップをするために用いられる場合や、
不動産仲介店において、チラシを無くして店内に入りやすい雰囲気を作るため・営業時間外でも宣伝を行うためにも用いられます。
上記のような店舗を利用する人数を増やす集客目的の他にも、顧客満足度を向上させてリピーターを増やす目的でも用いられます。
デジタルサイネージの分かりやすい効果としては、このような自社サービスの利用者増加が当てはまりますが、それだけにとどまりません。
今回は、その一例として大学・専門学校でのデジタルサイネージ導入に注目して、説明していきます。
教育関係者の方は「自分の勤務先ならどのように使えばいいか」ということが特に具体的にイメージできるようになれば幸いです。
情報発信・業務改善など大学での活用方法3事例!
当記事での「大学」は4年制大学と短期大学を指し、「専門学校」は専修学校のうち、高等学校卒業者や3年制の高等専修学校を卒業者に入学資格がある専門課程の学校を指しています。
すなわち、高校を卒業してから数年間学び、後に就職する10代後半~20代の若者が多い学校です。
文部科学省の統計によると、平成27年時点で学校の数は、4年制大学が779校、短期大学が345校、専門学校が3201校です。
同様に、学生の数は4年制大学が約286万人、短期大学が約13万人、専門学校が約66万人です。
後半で詳しく説明しますが、このようにある程度絞られた志向性・ニーズ・年齢層などの人々が集まるプラットフォーム(空間)であることがポイントです。
具体的な導入方法を見ていきましょう。
●掲示板の代わりに授業等の情報発信!
デジタルサイネージはインフォメーションディスプレイと呼ばれることもありますが、まさに情報を提示する掲示板をディスプレイで活用しています。
大学、特に総合大学では学部数が多いことから、常日頃様々な授業が行われています。
教員も大学専属の教授などに限らず、外部の専任講師などが担当する場合もしばしばあります。
そのような状況で、日々授業の休校や補講・教室変更がなされます。
また、授業以外にも、大学では学生のサークルや体育会、有識者の勉強会など、様々な活動の際に、教室や体育館・会議室なども日々予約されています。
これらの情報が更新されたら掲示板に反映させて、学生が多く通る場所に設置して周知させることで、円滑な授業実施・施設の利用がなされます。
画面の切り替えが可能なので、行事のお知らせや広告の掲載なども可能です。
●電子黒板と連動してオンライン講義!
オフィスの会議室でもミーティングの効率化のために用いられ、プロジェクターにPCを接続して投影するものと入れ替わりで導入が進んでいます。
教育分野においても大きな効果を発揮する使用方法です。
大学特有のものだと、受講人数の少ない授業をオンラインで配信する際に用いられます。
教養科目などで、大学・教員のオリジナリティを反映した科目を提供しようとしても受講人数が少ないために開講できないことがありました。
そこで、国立大学間など複数の大学が協力して、オンラインで授業を受けられるようにしました。
しかし、オンラインで配信する場合、白色のスクリーンにプロジェクターを投影したものでは、画面の表示が不鮮明になってしまうことが課題でした。
解決策として、大型のディスプレイのデジタルサイネージを複数台導入して、マルチディスプレイと教員をカメラで撮影して配信しました。
これにより、スライドや黒板を読みやすい快適な形で授業を受けられるようになりました。
●キャンパス内のメディアとして
大学生向けの情報発信番組・メディアを作成して、大学の生協や購買店などで放映している事例もあります。
大学生が日常の疑問・関心ごとなどをレポートするオリジナルの番組を作成するものです。
自分たちで作成することも出来ますが、配信型のパッケージを作成している企業もあります。
視聴者層も大学生であるため、就職活動関連の情報発信や企業紹介など、大学生をターゲットにしたコンテンツ配信媒体・プラットフォームとして活用できます。
なお、アカデミックな教育機関であるため、そのような広告配信・販促宣伝活動も表現内容を考慮するなどコンプライアンス意識は重要です。
なぜ大学をはじめデジタルサイネージの導入事例が増えるのか?
先ほど取り上げたように、大学では様々な活用方法がありました。
では、どうしてそのようなディスプレイの活用が進展しているのでしょうか。
デジタルサイネージを導入したことによる大きな変化、すなわち導入のポイントは「運営業務の効率化」と「新たな収入源」に繋がることです。
大学の教育活動においては、文部科学省の中央教育審議会大学分科会大学教育部会から、運営を一層改善・充実させるために様々な取り組みが提言されています。
職員の資質向上や業務遂行体制の見直しなど、様々な面の改善策からサービスを良くすることが求められています。
その中で、職員の抱える事務作業を効率化させ、雑務の負担を減らすと、
職員の専門性を身につけることなど、より生産性や付加価値を向上させる活動をするために時間を充てられます。
デジタルサイネージをインフォメーションディスプレイ(電光表示板)として活用することは業務効率化に繋がります。
また、視認性の高いディスプレイとしてオンライン授業に活用することは、今までにできなかった範囲での授業を可能にするなど、教職員のスキルや専門性をサポートするものになります。
また、大学の収入減は私立大学の場合だと、最も多いのが「学生納付金」、国や卒業生等から受け取る「補助金」や「寄付金」、売店や病院等の「事業収入」などがあります。
それらに加え、新たな収益源として継続的に得られるものが広告収入です。
紙のチラシや学生センターへの掲示、食堂のお盆への掲載など、学生向けの広告を出せる場所はいたるところにあります。
その中でも、デジタルサイネージなど利用者の注目を集めやすいスペースに広告を掲載すれば、多くの学生にリーチ出来るので、広告媒体としての価値は大きくなります。
これらの、①負担を減らす②新たな取り組みに活かす③収入源にもなりうるなどのの点は、大学に限らずデジタルサイネージを導入するうえで考えるべきポイントです。
なお、実際に導入する際には、導入にかかる諸費用=コストと、デジタルサイネージの活用によってどのようなことが出来るようになるのかという変化を見比べて考えてみましょう。
SP広告としても役立つデジタルサイネージ
先述した広告収入の側面について、広告を出稿する側の視点から考えてみましょう。
大学にあるデジタルサイネージの場合、多くの大学生が目にします。
つまり、大学生に向けて自社の商品等を宣伝したい人にとって、広告を載せたいというニーズがあるのです。
大学生の年齢層が商品自体のターゲットなっているリクルートスーツや運転免許合宿・海外留学の案内などはもちろんですが、それ以外の様々な製品も学生など10代後半~20代前半の若年層を取り込もうとします。
その理由は、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)が高くなるためです。
LTV=商品単価×年間購入回数×購入年数 という関係にあります。
多くの若者は、高校生から大学生ころに自分のお金で商品を買い始めます。
そのタイミングで自社の商品を買ってもらい、長期的に自社製品を利用し続けることも期待できます。
例えば化粧品だと売上の9割ほどがリピーターの購入とも言われています。
そのとき、どの顧客層に新規で購入してほしいかということを考えた場合に、アルバイト等から自分で管理している収入があり、後々社会人となる大学生に注目が集まります。
このように、何かしらの企業や団体にとって優良顧客となる層が利用するような空間には、広告を出そうというニーズ・ウォンツが高まります。
そのスペースにデジタルサイネージがあれば、SP広告(Sales Promotion、販売促進)広告としても機能するのです。
業務の効率化やサポートなどの用途に加え、広告として機能することでデジタルサイネージの利用価値は大きく高まります。
意外に、自社の店舗やオフィスなどにもそういった需要のある場所があるかもしれません。
まとめ
大学におけるデジタルサイネージの導入事例やその効果についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
デジタルサイネージを活用する際に目が向くのは自社の製品や店舗への集客・PRですが、それ以外にも様々な使い方があります。
今回はその一例として、業務改善や情報発信メディア、広告媒体などの側面を取り上げました。
このようなツールを利用することで何ができるようになるかを把握することと、自分の事業やチームに何が必要かということを考えることが重要です。
例えば、動物病院や工場、美容院などでも集客以外の面でデジタルサイネージが役に立つ場面も見い出せると思います。
この機会に、自分の仕事やプロジェクトにおける課題点や新たに求められていることについて考えてみるといいかもしれません。
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