近ごろよく耳にする「デジタルサイネージ」という用語ですが、それが一体どのようなものかご存知でしょうか?言葉の持つ響きから、なんだか複雑な機械を想像してしまう方も少なくないのではないでしょうか。
デジタルサイネージとはデジタル画面を使った看板のことで、既に私たちの身の回りのあらゆる場面で使われています。
新しい情報メディアとして広まりつつあるため、既に看板の候補として検討している方も多いかもしれませんが、従来の看板より初期費用が高額になるのは避けられません。導入前に、その特徴や必要なスペックについて熟知しておくことで、使用場面に最もふさわしい看板を見つけ出したいものです。
デジタルサイネージの違いのほとんどは、ディスプレイの違いが左右するといっても過言ではありません。
そこで今回は、デジタルサイネージの違いを決めるディスプレイの「サイズ・タイプ・スペック」の3要素について、ご紹介していきます。
※2019年7月8日4更新
はじめに.ディスプレイのメリット
本題に入る前に、ディスプレイが叶えるデジタルサイネージの2つの特徴についてご紹介します。
ディスプレイがもたらす最大の特徴は、①従来の看板では実現しなかった「映像空間」を作り出すことができる点です。
従来の看板は、鉄板やアクリル板などに印刷を施しただけのものなので、一度作ってしまうと、新たなデザインやイメージに作り変えるには、一からやり直す必要がありました。また、動きのある看板を作ることはできないので、「一面」の中でしか伝えたい情報を表現することができませんでした。
これに対して、デジタルサイネージなら、明るく鮮明な「映像」によって情報を伝えられるようになります。明るい映像は遠くからでも見やすいため、デジタルサイネージを利用すれば、見る人にインパクトを与える広告を打ち出すことができるようになるのです。
また、映し出す映像は独自に制作できるので、②いつでも必要なタイミングでオリジナルの広告やサインを映し出せる点も魅力的です。
1.ディスプレイの3要素
それでは、デジタルサイネージの違いを決めるディスプレイの3要素について、見ていきましょう。
1-1.ディスプレイのサイズ
デジタルサイネージは、シーンや用途によって必要なディスプレイのサイズが変わってきます。ここでは3つのサイズについて、それぞれ使用例とともにご説明していきます。
a.大型
大型ディスプレイのデジタルサイネージは、主に幹線道路の路面やビルの壁面に設置するためのものです。
サイズが大きいため、デジタルサイネージディスプレイの中では最も価格が高くなりますが、インパクトがあり、より多くの不特定多数の人々に発信したり、できる限り遠くまで情報を発信したい場合に適しています。
b.テレビサイズ
テレビサイズのデジタルサイネージは、お店のメニュー表示、アパレルショップ内でのモデルが試着した映像、銀行のATM機にて自行PRの表示など、あらゆる店舗に使用されています。
c.タブレット・スマートフォンサイズ
タブレットやスマートフォンサイズのデジタルサイネージは、ドラッグストアやスーパーなど、小売業界で頻繁に使用されています。商品陳列棚に設置しても商品の邪魔にならないサイズでディスプレイを設置できるようになっています。また、小型であるため、簡単に設置できるのも特徴になります。
1-2.ディスプレイのタイプ
デジタルサイネージはディスプレイの種類によって、「どこから・どれだけはっきり見えるか」が違ってきます。「LED」「液晶」「有機EL」それぞれの3つのタイプごとの特徴は次のようになります。
a.LEDディスプレイ
LEDディスプレイは、寿命が長いため、コストパフォーマンスも良いことが特徴です。
LEDディスプレイには電光掲示板などの文字タイプと、看板などの映像タイプの2種類があります。
文字タイプは従来から使用されていますが、1色あるいは2色使いの表示が基本なので、今後は映像タイプのLEDディスプレイの方が主流になっていくでしょう。
b.液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイは、重さが軽く扱いやすいので、屋内の看板などによく使用されています。
ただし、液晶は光の加減によって見えにくいというデメリットもあるので、屋外への設置には不向きでしょう。
c.有機ELディスプレイ
有機ELディスプレイは、鮮やかで実物に近い映像を映し出すことができます。比較的最近になって広まったディスプレイなので、他の2種類に比べるとまだデジタルサイネージ業界での使用頻度は高くありません。しかし、最新のスマートフォンの画面に導入されるなど、今後の使用が増えていくと予想されます。
1-3.ディスプレイのスペック
a.ディスプレイの「輝度」
「輝度」とは、光の明るさを表す言葉で、デジタルサイネージディスプレイを選ぶ時には、必ず必要となる基準です。屋外用か屋内用かなど、どこで使用するかによって、必要する輝度の数値は変わってきます。輝度の単位は、「カンデラ」「ルクス」「ニット」など様々ですが、「カンデラ」が使われることが多いようです。
目的別「輝度」の目安
・屋内
350〜500カンデラ
・屋外
700カンデラ以上
狭い部屋に輝度が高いものを設置してしまうと、目がチカチカして見づらくなってしまいます。家庭用のテレビの輝度は、だいたい350カンデラが一般的なので、これを基準にして検討してみると良いでしょう。屋外に設置する場合、日光が当たりやすい場所では1500カンデラほど必要な場合もあります。設置する環境によって、しっかりと見える輝度を選択するのが重要です。
b.ディスプレイの「解像度」
「解像度」とは、映像のきめ細かさのことを指します。解像度の低いディスプレイでは、文字や記号がぼけて読めなくなってしまう場合もあります。解像度の高いディスプレイは、画像や動画を美しく表示できますが、ディスプレイ自体のコスト面ではやや高くなってしまいます。
解像度には、ディスプレイの解像度と映像の解像度の2種類があります。
ディスプレイの解像度が低ければ、高解像度の映像を流しても画質は悪くなり、逆に高解像度のディスプレイでも、解像度の低い映像を流せば同様に画質は悪くなります。解像度の高い映像を映し出すには、ディスプレイと映像、双方の解像度が高くなければなりません。
以前は100インチを超える大型デジタルサイネージでは、LEDディスプレイを使うのが主流でした。しかし、近年の技術進歩により液晶ディスプレイも大型化し、100インチクラスのディスプレイも登場しています。また、マルチディスプレイ(複数液晶ディスプレイを接続して1つの画面として表示)を使っての導入も普及しています。
c.ディスプレイの「視野角」
「視野角」とは、ディスプレイを正面の角度から、どこまで横にずれて見ることができるのかという角度のことです。当然、狭い角度よりも視野角が広い方がデジタルサイネージには向いています。
格安のディスプレイを購入すると、視野角が狭いことがあります。正面から見る分には問題ありませんが、斜めから見ると、ぼやけてしまい映像がまったく分からなくなってしまうこともあります。
ディスプレイを選ぶ際は、輝度や解像度だけでなく、視野角にも注意して選びましょう。
d.LEDの種類
LEDには屋外用と屋内用があり、その中でも「超高精細」「高精細」「軽量型」などの種類がありますので、使う用途に合った種類を選びましょう。軽量型は設置できる場所がかなり広がるので、一番使い勝手が良い種類と言えます。
まとめ
以上、デジタルサイネージの違いを見極めるための要素として、ディスプレイのサイズ・タイプ・スペックを取り上げました。
1.サイズ
a. 大型
b. テレビサイズ
c. スマホ、タブレットサイズ
2.タイプ
a. LEDディスプレイ
b. 液晶ディスプレイ
c. 有機ELディスプレイ
3.スペック
a. ディスプレイの「輝度」
b. ディスプレイの「解像度」
c. ディスプレイの「視野角」
d. LEDの種類
サイズやタイプはある程度使う場面による制約が免れませんが、スペックであれば使用環境によって必要なものを取捨選択できるはずです。もちろん、全てのスペックが高ければ高いほど、機能性や映像のクオリティも上がります。しかし、スペックを追求していくと1台あたりの単価が従来の看板やサインに比べると倍以上の金額になってしまうこともあります。そのため、最優先すべきスペックは何なのか、費用対効果を考えて選ぶことが欠かせません。
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