小売店の店内や飲食店、ホテル等の観光関係施設、電車等の公共機関、駐車場、マンション、病院、不動産仲介店など様々な場所でデジタルサイネージが活用されています。
「デジタルサイネージ」という言葉だとピンとこない方もいらっしゃると思いますが、紙媒体でなくディスプレイで画像や映像が表示されているものは該当します。
最近では、身の回りのあらゆるところにデジタルサイネージが設置されていますし、これからもどんどん新しく導入されていくでしょう。
とはいえ、普及の度合いは地域や事業形態によってバラバラです。
例えば、美容室ではデジタルサイネージ効果が認められ導入が進んでいますが、タッチパネルディスプレイはあまり導入されていません。
iPad・タブレットの小型サイネージを設置することで、お客様はヘアスタイルのサンプルを見ることができ、注文しやすくすることができます。また、店舗側からお勧めの髪型やサービスを提案することもできます。
散髪中やパーマをかけている待ち時間でも、雑誌を読むだけでなくタブレット端末で美容関係の情報やインターネット検索など、好きなことに時間を費やすことが出来るでしょう。
今回は、このように現状では、さほど普及していないものの、実はデジタルサイネージを利用することが有効ではないかというケースについて書いていきます。
※弊社の導入実績ではなくイメージであることをご了承ください。
ビジネスモデルから考える銭湯でディスプレイ広告を導入するメリットとは
この記事でご紹介するのは銭湯への導入です。
正確に言うならば、スーパー銭湯(食堂やマッサージ店などもある複合施設)・天然温泉・健康ランドなど商業施設として利用されている場所が、より導入余地があるでしょう。
銭湯や温泉施設は基本単価となる入館料は数百円と安価であるため、
①集客数を大きく伸ばす
②施設内に長くとどまってもらい付加サービスを利用してもらう
③他の企業や団体からの広告収入を増やす
ことのいずれかによって売上を向上させる必要があります。
なお、②と③については、銭湯や温泉施設というプラットフォームへの集客数を前提として、温泉以外のサービスにより収益をあげています。
このような状況に対して、浴場のサウナへのデジタルサイネージ導入が大きな効果を発揮すると考えます。
既に設置されているテレビで複合施設の宣伝や外部企業の広告掲載などを行うことができます。
それぞれについて詳しく説明します。
①銭湯・温泉への集客
集客の手段として現状で行われている施策は、小規模なものでは、最寄り駅からの無料運行バスの設置や割引、広告看板の設置など既に様々なものがあります。
「炭酸風呂」「フィンランド発のアロマサウナ」など、目玉となる設備を増やすことで差別化を図ることも考えられますが、初期費用が莫大なものであり、中々実行できないかもしれません。
サウナを思い浮かべていただければ分かりやすいと思いますが、長時間同じ場所にとどまっていると次第に退屈に感じてきます。
汗を流して健康促進という効用のためにサウナに入っている必要があり、その退屈さを解消するための手段としてテレビがあります。
デジタルサイネージをサウナや浴場に導入すると、既存のテレビでデジタルサイネージのコンテンツを配信することが出来ます。
テレビとともに新たにディスプレイを設置した場合は、テレビ番組とサイネージのコンテンツどちらも見ることができるようになります。
そのようなサービスを導入することが、「デジタルサイネージがサウナにある」という点で他の健康ランドやスーパー銭湯にない差別化要因として施設への集客数増加につながることもあるかもしれません。
②複合施設の利用による客単価向上
スーパー銭湯などの温泉施設では、浴場以外にも、岩盤浴・マッサージや脂肪燃焼などのボディケア・レストラン・カラオケやゲームセンターなどのアミューズメントなど様々なサービスがあります。
温泉へ入る前後に、それらを利用していただくことにより、顧客一人あたりの売上(客単価)を伸ばしています。
マーケティングにおいてクロスセルと呼ばれる手法です。
実際に利用していただくには、銭湯に入りに来た人に対して、
「他のサービスがあることを認知してもらう→興味を持って実際に足を運んでもらう」という行動フローを踏んでいただく必要があります。
例えば、銭湯でお風呂上がりにコーヒー牛乳やフルーツ牛乳を購入するケースを考えてみましょう。
お客様はお風呂やサウナを利用することで体が温まっており、のどが渇いたと感じる方も多いです。
すなわち、冷たい飲み物を欲している状況です。
そのような時に、お風呂を上がってすぐの脱衣所で牛乳の自動販売機を目にします。
財布を持っていなくても、ロッカーキーについているバーコードにより購入できる場合、すぐに自動販売機へ向かうという流れになります。
飲み物に対するニーズ(需要)がある状態で、飲み物が売っている場所を認知(供給)したのです。
このように、温泉に入っている時点で「お風呂上がりのご飯でオススメメニュー」「マッサージのサービス一覧や期間限定サービス」などの情報を目にすれば、今まではそのような複合施設を使っていなかったお客様も利用するようになるかもしれません。
③外部向けの広告ビジネス
現在の温泉施設では、施設内やHP上で近くのパチンコスロットなどの施設が広告を掲載しています。
広告主(外部の企業や団体)にとっては、費用に対する効果が高いと思える環境やPR方法であることが重要です。
収入を増やすには、広告単価を上げるか広告を掲載する場所を増やし、新たに広告主に枠を購入していただく必要があります。
そこで、サウナに設置されたデジタルサイネージで外部のCMなどもコンテンツに加えるとどうなるでしょうか。
従来の広告とは異なり、映像としてPRすることも出来ますし、サウナに入っている間に多くのお客様が目にします。
さらに、サウナや浴場は男女で分かれているため、女風呂で化粧品の広告・男風呂でスポーツ用品の広告など、広告主の製品のターゲットとなる層へアプローチしやすいのです。
また、新たに広告を掲載しようというニーズに繋がるだけでなく、ターゲットに訴求しやすいためにデジタルサイネージ上の広告への需要が高まり、広告収入および単価が上昇することも考えられます。
お風呂でサイネージって大丈夫なの!?導入時の注意点
デジタルサイネージといえば、商業施設や駅前に設置してあるもので、タッチパネルで操作可能なディスプレイを思い浮かべる方もいらっしゃると思います。
そのため、お風呂場に設置する際には、「タッチパネル式でよく見かけるデジタルサイネージを水場に持ち込んで壊れないの???」と心配になった方もいるかもしれません。
ここで思い出していただきたいのが、どうしてスーパー銭湯ではテレビを設置することができているのかということです。
サウナや温泉仕様のテレビがあるわけではありません。
サウナやお風呂場に設置してあるテレビは、ガラスケースで仕切られていることで水に濡れないようになっています。
これをデジタルサイネージを導入する状況で考えると、タッチ操作の出来るディスプレイ(インタラクティブ版と呼ばれます)は導入できないのですが、自分たちで用意したコンテンツ・広告等の映像を流すなど、その他の機能を備えたディスプレイ(ブロードキャスト版と呼ばれます)を設置することは十分に可能なのです。
温泉と電子看板という組み合わせであるため違和感を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど①~③で取り上げたように、デジタルサイネージを設置することが今までにない付加価値をもたらすことが考えられます。
私たちは「サウナで暇になったらテレビを見る」という固定観念を持っていますが、テレビの映像以外のものがあったら面白くないでしょうか?
温泉の施設関係者の方々にとっても、お客様が長くとどまってディスプレイに目を向ける場で、自分たちの店の宣伝をしてもらえれば集客に大きくプラスになるのではないでしょうか?
外部の企業にとっても、テレビやインターネット向けに作成した映像タイプの広告を新たに出稿できる、なおかつ男性・女性別々の広告を出稿でき、ターゲットを絞った広告を掲載することでコストパフォーマンスの高い成果が得られることはメリットになるのではないでしょうか?
すなわち、温泉のユーザー(消費者)、複合施設の人々(関係会社)、広告主(外部)と全てのステークホルダーにとって望まれるサービスであるならば、導入する価値は大きいと考えます。
もちろん、これまで取り上げてきたサウナや浴場だけでなく、露天風呂の一角・施設内の休憩スペースなど、多くのお客様が長居する場所であればどこでも導入することで効果はあるでしょう。
実際に導入すれる際には、業者と相談しながら適切な設置場所を検討してみてください。
見落としがちな点ですが、デジタルサイネージを導入するには、大型のディスプレイやタブレット端末など、ハードをウェアを必ず購入しなければならないというわけではありません。
我々が普通に使っているテレビにも、外付けのUSB・HDMI端子などを用いることで映像を流すことは可能です。
デジタルサイネージで流すような情報(銭湯の例では複合店舗・外部企業のプロモーション映像が中心と想定されます)はハードウェアとは別のソフトウェア内のものです。
すなわち、銭湯のサウナに既にあるテレビに多少補強を行うことで、デジタルサイネージに変えることができるのです。
まとめ
銭湯・温泉でデジタルサイネージを導入する利点を改めてまとめます。
1.「サウナや浴場などにテレビ以外のメディアがある」ことが差別化要因となりうる
2.デジタルサイネージで映像を流すことで、温泉以外の施設のプロモーションになり、顧客単価が向上
3.紙媒体・HPに加わる新たな広告媒体となり、外部企業からの男性/女性それぞれの出稿増加
4.既にサウナ内にあるテレビを活用する場合はハード面のコストがかからない
つまり、デジタルサイネージの導入は、ビジネスモデル上の収益増加に関わる①集客②他の施設の利用(クロスセル)③広告収入全てにおいてプラスに働くのです。
このような点を鑑みて、銭湯にデジタルサイネージを導入することをお薦めします。
他にも探してみると、このようなケースは多いのかもしれません。
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