顧客獲得のための集客、自社のイメージアップ、サービス・社内の利便性向上、顧客・社員満足度向上など、設備投資を行う目的は様々なものがあるでしょう。
その目的に対するアプローチも、ビラの配布、外部とのタイアップ・コラボレーション、ハードウェア・ソフトウェアの導入、最新テクノロジーを用いたインフラ投資など多岐にわたります。
施策を実行するうえでは、目標への到達度合い・費用に対する効果なども考えるべき要因ですが、ネックとなるのはコストの大きさではないでしょうか。
今回ご紹介する事例のように、病院などの大型施設においてiPad型デジタルサイネージを大量に設置する場合は、ハードやシステムを全て一括で購入すると大きな負担となります。
仮に良いものだと思っていても、予算を超えてしまうとその方法の実現可能性は下がります。
費用が大きくかかるものが実施できないために、代替の低コストで行うことのできる手法に頼らざるを得ないこともしばしばあると思います。
そのようなジレンマに陥ってしまった際に、考えていただきたいことが固定資産に対する減価償却の概念です。
なんとなく名前は聞いたことはある用語だと思いますが、マーケティング上での意義や関係性について見ていきましょう。
「5000万円で事業所を建てた」時の今年の費用は5000万??減価償却で正しく見積もろう
part5でLTV(顧客生涯価値)についてお話しした際に、売上を長期目線で見る視点が大事だと説明しましたが、それは費用についても同様なのです。
この章のタイトルのようなケースを考えてみましょう。
自社の事業を拡大するときや新規開業の際に、自分たちが働く事業所を新設します。
そのときにかかる費用は状況に応じて土地の取得など様々なものが考えられますが、大きなものとして避けられないのが建物そのものの建設です。
焦点となるのは、コストをどのように計上するかという会計面の問題です。
この費用が5000万円とした場合、最初の年に5000万円の費用がかかり、その後は0円となるのでしょうか?
基本的には数十年間使い続けるものですから、仮に一括払いをした場合でも、初年度に5000万円の大出費でその後はタダとは考えないことが賢明でしょう。
事業者や土地、車両、器具・備品など、このように考えるものを固定資産と呼びます。
長く使うもので費用が一定以上かかるもの(10万円以上)が該当します。
つまり、定規やはさみなど、長期間使うけれど費用が安いものは、会計上消耗品や備品という扱いになります。
長期的に使うことが前提であるため、購入時の費用も減価償却による費用計上を活用します。
例えば、50年間事業所を利用すると仮定した場合、建物にかかる費用も単純計算で、
5000万÷50=100万(円) と見積もることができます。
ここでの期間というのは予め見積もるものであり、実際の使用年数とは異なっていても問題ありません。
例えば、事業所の移転・会社の倒産などによって5年ほどになるかもしれませんし、長く使い続けることで結果的に100年残ることもあるかもしれません。
評価の方法は定額法・定率法などありますが、どの手法においても大事なことは、
「長期間利用するものは時間をかけて費用を見積もりましょう」ということです。
実際に物件を確保する場合も、ローンを組むことや、賃借することなどにより、毎年・毎月少しずつ費用を払っていることを考えるとイメージしやすいかもしれません。
ここで、冒頭の話を振り返ってみましょう。
仮に収益が大きくなると思う設備投資でも、費用が大きすぎるために、予算オーバーで実行できないかもしれないという課題に直面するかもしれません。
その際には、減価償却を用いて考えると、案外毎年度かかる費用は小さいかもしれません。
支払方法も現金や掛け金、手形による一括ではなく、ローン購入やリースによる借入などによって毎年・月あたりの支払は実際の使用年数に分割することができるケースが多いでしょう。
社内への新型コンピューターの導入、営業用の自動車の購入、集客のためにデジタルサイネージ等大型の設備投資実施のような施策も、形に結びついていくようになるでしょう。
使用後の影響は如何に!?サイネージ導入例
それでは、今回は病院施設や食事メニュー案内におけるデジタルサイネージの活用事例を見ていきましょう。
1.メニューの販売情報案内
福利厚生の一環として存在するオフィス内の食堂は、社員数が多くなるほど規模の大きいものになります。
某大手製造メーカーでは、食堂がとても広いために、社員食堂の入り口と調理場がとても離れた位置にありました。
入口にメニュー案内を設置しているとき、何かのメニューが売り切れになってしまうことや、急に献立が変更になることもしばしばあります。
その際に、いちいち遠くの入り口まで情報を更新しに行かなければならず、大きな負担となっていました。
もちろん変更するまでに時間もかかりますから、食べようと思っていたものが実は売り切れだったという問題も生じます。
社員の不満が大きくなり、パフォーマンスの低下や、場合によってはストライキが起こるかもしれません。
そのような問題の打開策として、デジタルサイネージが活用されました。
食堂入り口にスタンドアロン(自立)型のディスプレイを設置して、メニューの情報を表示させます。
iPadやタブレット端末と同期させることで、調理場からボタン操作によって、入口のディスプレイのメニュー表示も変更させられます。
完全に売り切れた場合、調理中でしばらくしたら販売再開、メニュー自体の急な変更など、詳しい情報も簡単にリアルタイムで反映させられるため、業務の効率化や利用者となる社員の満足度向上につながります。
一般的な飲食店に比べて在庫を抱えられない食堂という状況にはまった解決策と言えます。
廉価で食事を提供する社員食堂においてこのような設備の投入は高負担に感じられるかもしれませんが、利用期間とその活用による長期的なメリットをを踏まえると、導入による費用に対する効果は大きかったでしょう。
飲食店やスーパーのセール開催時など、それ以外のケースでも転用可能です。
2.病院内のコミュニケーションツール
大型の病院でiPadを端末機器としてデジタルサイネージが設置されました。
病床数が数百にもおよび、検査のための様々な設備が整えられている病院は膨大な広さとなります。
それに伴い、多くの患者の方や医師・看護師の方々がいて、病院に関する多くの情報が行き交います。
また、患者やお見舞いに来た方は病気に関する情報を詳しく自分で調べたいという潜在的なニーズを持っていました。
そこで、病院の休憩スペースや談話室を中心に、病院からの連絡事項・外来医師の担当予定表・病気の知識など、病院が提供するあらゆる情報をiPadから確認できるように導入しました。
サーバーで管理をして設定することで、インターネットの閲覧も可能となります。
そして、病院内での、告知やコミュニケーションの媒体として活用することに加え、検査内容の事前案内や、問診などの待ち時間を利用した効果的な時間利用が可能になったのです。
実例としては、医療法人東札幌病院が一度に30台のタブレット端末を導入しました。
キャピタルメディカにデジタルサイネージシステム「サイネージ・リレーション」を提供 ~東札幌病院にiPadを設置し、患者への積極的な情報提供を実現~
3.病院内の個人向けタブレット端末
Androidタブレットに弊社の「マイタッチタブ」を導入して、個人の病床で使ってもらうようにしました。
「マイタッチタブ」は、タブレットを用いて動画や静止画、アプリケーションなどをコンテンツマネジメントシステム(CMS)の使用により様々な情報を提供するものです。
病床にいる個人の患者さんが病院の情報を受け取ることや、暇な時間にゲームをするなど、様々な機能を備えたものを提供することができます。
先ほどの東札幌病院の事例では、30台も導入することは、一時的な支払うと考えると重い負担となるかもしれません。
しかし、情報共有の円滑化やCMSによるデータ蓄積などを考えると、長期間の利用では大きなプラスとなるでしょう。
医師や看護師など職員の方々が緊急時に対応できるような体制を整えておくことや、お客様ひとりひとりにあった治療や看護の実施を出来るようになれば、それは金銭に換算するならばとてつもなく大きな付加価値となるのではないでしょうか。
また、病室という特定の人が長期間いるスペースでは、テレビ型のデジタルサイネージを設置することも有用です。
これは病院に限らず自社オフィスで導入する際にも共通します。
まとめ
今回は前半に新たな設備導入における費用の考え方について、後半では初期に大きな投資をしながらサービスを改善していった事例を取り上げました。
デジタルサイネージの導入によって、今まであった不満の解消や「あったらいいな」と思う新サービスの実現などが可能になります。
今回の事例は社員食堂、病院とこの記事の読者の方の事業とは直接は関係ないものであるかもしれません。
ですが、既にある形から自社の取り組みに共通する部分を見い出だし、インフォメーションボード等の設備投資を行うための糸口を探ることは重要です。
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